7月のスクーリング民法総則の準備として、
基礎固めを8日間にわたって進めます。
なのにカテゴリーは宅建試験?
宅建の権利関係は民法を中心とした勉強なので、
それを使って8日間勉強を進めます。
宅建の試験も合格するつもりなので、
両方の勉強をかねて8日間は宅建を中心に、
あとスクーリングまでは大学の教科書を中心に進めます。
さて、今日から8日間は学習のポイントをまとめてみようと思います。
1.制限行為能力者
行為能力:単独で完全に有効な法律行為を行う事が出来る資格
法律行為:法律上の効果を発生させる行為のこと
(契約、単独行為(遺言など)、合同行為(会社の設立など)の3種類があるが、契約が中心)
制限行為能力者:自己の行為の結果を合理的に判断する能力がないか、
または不十分であるため、単独では完全な法律行為を行うことができないと法律が決めた者
制限行為能力者の種類:未成年者、成年被後見人、被補佐人、被補助人
未成年者:年齢20歳未満の者。また、婚姻により未成年者を成年として扱う
(民法753条:未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす)
成年被後見人:精神上の障害により、事理を弁識する能力を欠く状況にある者で、
家庭裁判所から後見開始の審判を受けた者
被保佐人:精神上の障害により、事理を弁識する能力が著しく不十分な者で、
家庭裁判所から保佐開始の審判を受けた者
被補助人:精神上の障害により、事理を弁識する能力が不十分な者で、
家庭裁判所から補助開始の審判を受けた者
制限行為能力者制度は判断の能力が弱い立場にある者を守るためにある。
制限行為能力者を守るために2つの制度がある。
一つは保護者(未成年者は親権者等、成年後見人、保佐人、補助人)をつける。
もう一つは契約を取り消すことが出来るようにしている。
取り消しうる契約は、
取り消しによって契約時に遡及して無効となる。(取り消すまでは有効ということ)
追認によって完全に有効となる。(取消権放棄の意思表示)
未成年者の能力:原則として、法定代理人(親権者または後見人)が
未成年者の法律行為に同意するか、法定代理人が代理して行う。
例外として、単に権利を得、または義務を逃れる行為、
処分を許された財産の処分行為、営業を許可された場合の営業上の行為は、
未成年者が単独で行うことが出来る
成年被後見人の能力:財産上の行為は、原則として成年後見人が代理して行う
成年後見人が同意したとしても取り消しが出来る
ただし、日用品の購入は単独で行うことが出来る
被保佐人の能力:原則として、単独で有効に契約を結ぶことが出来る
ただし、一定の重要な行為を行う場合は保佐人の同意が必要で、
同意のない契約は取り消しうる契約となる
重要な行為とは次の財産上重要な行為である
1.元本を領収し、またはこれを利用すること
2.借財または保証をすること
3.不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為
4.訴訟行為
5.贈与、和解または仲裁合意
6.相続の承認、放棄または遺産の分割
7.贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付き贈与の申込みを承諾し、
または負担付き遺贈を承認すること
8.新築、改築、増築または大修繕すること。
9.民法602条に定められた期間(山林10年、宅地5年、建物3年)を超える賃貸借をすること
つまり、不動産の売買契約をする場合はすべて保佐人の同意が必要であり、
不動産の賃貸借契約をする場合は、
その期間が宅地については5年以内、建物については3年以内のもの(短期賃貸借)なら、
保佐人の同意を要せず単独で出来る。
被補助人の能力:ほとんどの契約を単独で有効に結ぶことが出来る
ただし、保佐人で列挙されている一定の重要な行為のうち、
家庭裁判所から審判により指定された行為については、
単独で契約を結んだ場合は取り消しうる契約となる
取消権者:成年被後見人を含む制限行為能力者全てと同意をなすことが出来る者(保護者)全員
(取り引きの相手方には取消権がない)
追認権者:保護者(親権者等、成年後見人、保佐人、補助人)
未成年者、被補佐人、被補助人は保護者の同意があれば追認できる
成年被後見人は成年後見人の同意があっても追認することは出来ない
代理権者:親権者等、成年後見人
ただし、保佐人、補助人には、家庭裁判所が特別に付与する場合がある
同意権者:親権者等、保佐人、補助人
制限行為能力者の詐術:制限行為能力者が詐術を用いた場合は(相手をだまそうとした場合)、
その契約は取り消すことが出来ない。
ただし相手が悪意の場合(未成年であることを認識していたなど)は取り消すことが出来る。
取消権の消滅時効:取消権は、制限行為能力者が行為能力者になってから5年、または、
契約から20年経過すると消滅する。
第三者対抗:
取消前の第三者対抗について、第三者が現れた後の制限行為能力を理由にした契約取消は、
善意、悪意、登記を有しているかどうかに拘わらず、第三者に対抗できる。
取消後の第三者対抗について、制限行為能力を理由にした契約取消し後の第三者には、
善意、悪意に拘わらず、登記を有している第三者に対抗できない。
おっと、ここで時間が来てしまいました。
予定の3分の2ほどにとどまりました。
書き始めの頃の予定は8日間でしたが、ちょっと延びるかもしれません。
次は意思表示に入ります。